学術研究と若手 2010.12.05-12.11

心穏やかに毎日を過ごしたいと願っているのに、学術研究の現状を思うとつい過激になる。競争的研究資金による臨時雇用の形で若手研究者を遇するいまのしくみは直ちに見直すべきである。研究資金とは独立して、未来を担う若手研究者を安心して育てることができる環境を早急に構築すべきである。

研究開発の中心を1年契約の臨時雇用の若手研究員にまかせて、企業の業績が悪くなるとすぐ解雇する。そのような企業は、間違いなく早晩倒産する。このような自明なことを、日本という企業はいまおこなっている。おそらく来年春の解雇者は相当な数になるだろう。

若手研究者の育成体制の抜本的な見直しは、緊急の課題である。このままでは、優秀な若手は別の職種に逃げる。あるいは海外に逃げる。競争だけあって生活が厳しいから結婚や子育ても難しくなる。高学歴コミュニティでの少子化は日本を危なくする。

競争的研究資金そのものが時代の要請や財政によって変わることは、ある程度仕方がない。一方で未来を担う若手研究者の育成は、国家の百年の計である。少なくとも、いまのようにその時の政治情勢によって大きく変動することは避けなければならない。

科学技術の推進が謳われながら、大学の定常的な人件費は年々減らされている、いま大学の最先端の研究室は、臨時雇用の若手研究員がいなければ運営できない。その雇用を確保するために、研究テーマも目先の資金が得やすい方向へ流れる。研究そのものもおかしくなる。

なぜいまのような学術研究のしくみを、日本という国は設計してしまったのか?それなりの論理があったに違いない。責任追及という意味ではなく、将来において同じ過ちを犯さないためにも、制度設計プロセスの再検証が必須である。

若手を大切にしない学術研究のしくみはおかしい。このツイッターを読むのは、国の政策に関わる人ではなく、おそらくは若手研究者が多数であろう。そのことを思うと心が痛む。でもあえて何度もつぶやく。みなが前向きにつぶやけば、それは次第に力になる。