無駄な時間 2010.12.19-12.25

人と人の関係は、その人とどのくらい無駄な時間を過ごしたかで決まる。無駄が大切である。効率的につきあった相手とは真の関係は生まれない。

昼間の会議室での会議では、人と人の関係は生まれない。会議の後に飲み屋で一杯。昼間にはない相手の意外な顔におどろく。自分と同じ弱さを持っていることを知る。それによって人と人はつながる。

学術的な研究集会での懇親会(バンケット)。それは単なる飲み食いではない。そこで研究者はつながる。つながればネットワークができる。研究が発展する。学術研究にとって、それは本質なのだ。必須なのだ。

個人的なことになるが、あるとき医者から酒を止められた。もともとそれほど強くない酒

がもっと弱くなった。一方で、止められることによって逆に酒席は増えた。飲まなくても、相手と意気投合して酔うことができるようになった。

顔の研究に関わって本当に良かったと思う。顔の話は、酒席での公用語である。誰もが関心を持つ。初対面の相手とも、顔の話をしていれば盛り上がって仲良くなれる。仲良くなれば、自分にない相手の魅力を引き出すことができる。勉強になる。

人には朝型と夜型の二通りがある。朝型は朝10時までを自分だけの素晴らしい時間として、それを逃す人の気が知れないという。一方の夜型は、夜10時からの二次会を大切にして、その前に帰宅する人を可哀想に思う。僕は朝の良さも知っているが、夜の誘惑には負けてしまう。

ある公開のシンポジウムのパネルでこう指摘された。「君は飲み会等で最後までつきあう。それは寂しい人間であるからだ」。否定も肯定もしない。師走の深夜に一人つぶやく。人は皆もともと寂しいのではないか、つながりを求めているのではないか。