経済 2012.04.29-05.05

僕は経済に弱い。それ以前に関心がない。経済は重要だと思うけれども、金儲けも含めて面白いとは思わない。もしかしたら、小さいとき「金のことに執着する人間になるな」という教育を受けて育ったからかもしれない。その僕が経済についてつぶやく。

かつてバブルのときに「金が金を生む」と言われた。まずは借金することが成功への道と言われた。僕にはその論理がどうしてもわからなかった。ゼロサムのもとで、それは他人の不幸を前提とした成功のように僕には思えた。もともと経済とはそういうものなのだと言われそうだけれども。

いまの経済システムは、まるで自転車に乗っているように思えてならない。ひたすら走り続けないと倒れてしまう。このまま進むと、その先に破滅しかなくても、走り続けなければならない。止まるわけにはいかない。極端に言えば、そのような業の世界に、いま人類は生きている。

「ほどほどがいい」。僕はこのような生き方を理想としている。でも、皆がこのような生活をしたら、経済は成り立たない。大量消費しなければ不景気になって失業者は増える。「ほどほど」でなければ、もはや地球は持続できないはずなのに、いまの経済はそうでない。

大量の余剰資本は、 ひたすら独自の論理で力をふるう。一つの国がつぶれそうになっても、そこには罪の意識はない。当然の経済行為とされる。かつての余剰資本は、市場を植民地に求めて、その結末は世界大戦であった。異なった形で、いま日本を含めて多くの国が危機的状況になっている。

金融資本主義にはさまざまな問題がある。いまの最大の不幸は、それに代わるシステムを持っていないことだ。共産主義も代案にならなかった。資本主義の応急手当を繰り返しながら、延命する以外にない。しかし、それは人類の長い歴史のなかで、いつまで続くのであろうか。

経済は文化の僕でなければならない。これは僕の尊敬するある経済人の言葉である。ところがいまは、経済は文化のパトロンだと勘違いして、時代の王侯貴族になっている。戦後の復興期は仕方がなかったけれども、そろそろ日本も文化で尊敬される国になっていい。