化粧 2012.06.10-06.16

人は自らの肌を彩る動物である。彩り方にもいろいろある。すぐに落とせる化粧もあれば、刺青のように一生消えないものもある。形そのものを変えてしまう美容整形も、その範疇に入るかもしれない。化粧は、「化けて粧う」と書く。それは本当に化けているのだろうか。

女性になぜ化粧するのかと聞くと、それはエチケットあるいはマナーだと言う。顔の健康のために化粧は大切という答えも返ってくる。身だしなみや健康は大切である。でも日本には外見を気にすることを否定的にみる文化がある。それがこのような無難な答えにつながっているのかもしれない。

化粧の本音は男性を誘惑するため・・・、男性は女性の化粧をそのように見る傾向がある。一部の女性はそうかもしれない。しかし、化粧を男性への誘惑とみなすことは、勝手な男性目線である。男性中心の思い上がりであると言ってもいい。

女性は見られる存在でもある。女性がファッションも含めて自分を美しく粧うとき、男性ではなく、むしろ同性である女性の目を気にする。女性は女性どうしで厳しい世界を生きている。男性は完全に蚊帳の外にある。

化粧には流行がある。みな同じような化粧をするのは何故だろう。流行にのった方が安心できるからだろうか。例えば、女子高生は同じ化粧をすることにより仲間意識が高まる。かつてガングロという化粧が流行ったことがある。彼女たちの連帯感は相当なものであった。

職業によって化粧のしかたが違う。キャリアウーマン風、客室乗務員風、銀行員風、高級クラブのホステス風・・・。それは、それぞれの職業に社会が期待している顔なのだろうか。その化粧をすることによって、本人も安心する。就活のための化粧法というのもありそうである。

化粧には、コンプレックスを隠すためという意味もある。シミ、シワ、タルミ、・・・。できれば隠したい。さらには化粧によって積極的に自分自身を隠したいという欲求もあるかもしれない。それによって自分を護ることができる。化粧は防護服でもある。