前を向いて歩く 2012.08.05-08.11

前を向いて歩く。前に何があるのか。僕のような高齢者には何もないかもしれない。死が待っているだけかもしれない。でも、前を向いて歩く。前を向くこと、歩くこと、そのことが大切だと思うからだ。

前を向いて歩く。歩くからには、行き先がある。目的地がある。でもそこは到達できないかもしれない。目的地は蜃気楼かもしれない。求めているものは、青い鳥かもしれない。でも歩く。

前を向いて歩く。そうすれば次々と風景が変わる。新たな刺激に接することができる。思いがけない驚きもある。人生でまだ経験していないことがたっぷりある。歩くことによって、それを発見する。

前を向いて歩く。そうすればいい出会いがある。出会った人と一緒に歩くことができる。行き先はそれぞれだから、その人とはいつかは別れるかもしれない。でも前を向いていれば、祝福して別れることができる。

前を向いて歩く。どうせなら楽しく歩こう。姿勢をよくして歩こう。歌など口ずさみながら歩こう。たまには軽やかにステップを踏んでみよう。楽しく歩けば、心も楽しくなる。人生も楽しくなる。

前を向いて歩く。歩いていれば疲れる。休みたくなるときもある。そのときは休めばいい。急ぐことはない。休みながらゆっくり歩けばいい。つまずくこともあるかもしれない。転ぶことがあるかもしれない。それも歩くことなのだ。転びながら歩いていこう。

前を向いて歩く。巡礼者はひたすら歩く。それぞれが背負っているものは違っても、みな歩く。歩くこと自体が巡礼だからだ。それが生きるということだからだ。みなそうして前を向いて歩いているのだ。