眉 2012.09.30-10.06

人にはなぜ眉があるのか。それは汗が目に入らないようにするためである。人は大切な脳を冷やすために頭に汗をかく。それが目に入って、何も見えなくなったら、人は危ない。眉は、汗という津波の防波堤の役割を果たしている。

眉は、そこだけ毛が残っているから目立つ。しかも、その周りには表情筋が発達していて、眉はよく動く。眉をひそめる、眉を吊り上げる、眉を曇らせる。人は眉で感情を表現する。目だけでなく眉も口ほどにものを言う。人は眉でコミュニケーションする。

人は眉の動きから相手の感情を読む。逆に、眉を剃ってしまうと感情が読めない。それは怖ろしい顔になる。口元が笑っているように見えても、いつ急に刃物を懐から取り出して、ブスッと刺されるかもしれない。そのような顔になる。

日本では教養ある人は、自分の感情を露わにすることは、はしたないとされた。平安時代の貴族は、眉を剃って、表情筋のない額に殿上眉と呼ばれる眉を描いた。江戸時代の女性は結婚すると眉を剃った。それは夫以外の男性に自分の感情を見せないためであった。

化粧では、眉をどう描くかがポイントになる。顔の他の部分は整形でもしない限り大きく変えられない。眉だけはかなり自由に描くことができる。それによって顔の印象が変わる。例えば、眉の一番高いところ(眉山)を外側におくと、つっぱった印象になる。内側によせると優しさがでる。

眉の描き方は、時代とともにかわる。たとえば大正時代は眉を円く描いた。それだけで大正顔になる。これに対して今は、できるだけ直線的に描く。それだけで現代的なシャープな顔になる。女性の眉の太さにも流行がある。その流行は景気と関係があるとする説もあるけれども、真偽は知らない。

男性は、ある年齢以上になると、眉の一部の毛が太く長くなる。そのような眉毛ばかりになると、かつての村山首相のようになる。それは長寿眉と呼ばれている。毛の老化によりDNAが損傷されて、長さの調節ができなくなるためらしい。長寿眉だと長寿になるのではない。長寿だと長寿眉になる。

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