一流の・・・ 2012.10.07-10.13

世の中、一流が少なくなったよう気がする。そもそも一流とは何を言うのだろう。逆にそうでない二流とは何を言うのだろう。例えば、それぞれの専門において、一流の職業人とそうでない職業人がいる。どこが違うのだろう。

一流の学者は、自分自身の学説を一人称で語る。そうでない学者は、他の著名な学者の学説を三人称で語る。かつては海外の学説をいち早く日本に紹介することが、学者の役割だった。いまでもそのような動向だけに詳しい学者や専門家が、もてはやされる傾向がある。

一流の教育者は、生徒や学生と向き合う。そうでない教育者は、学習指導要領や教科書だけと向き合う。一流の教育者は、生徒や学生がそれぞれの可能性を自ら育む手伝いをする。そうでない教育者は、既存の知識や常識を機械的に押しつけて、すべてを画一化する。

一流の経営者は、未来へ向けてビジョンを語る。社員に夢と元気を与える。そうでない経営者は、もっぱら不況を嘆き、経営の厳しさばかりを語る。厳しさを口にしておけば、我が身は安全だと考える。しかし、そのような経営者のもとでは、社員は意気消沈する。会社の将来も暗くなる。

一流の科学者は、未知の現象に謙虚に立ち向かう。例えば物理学において、光よりも速い現象がもし本当に見つかれば、科学はもっと面白くなると、一流の科学者は考える。そうでない科学者は、光よりも高速な現象は理論的にありえないと、鼻から全面否定する。

一流と二流は、顧客(クライアント)を相手にする職業、例えばデザイナーにもある。クライアントの要求をすべて取り入れて、期待通りのデザインをするデザイナーは二流である。一流のデザイナーは、クライアントの当初の期待を裏切って、クライアントをもっと喜ばせる。

一流の政治家と二流の政治家、どこが違うのか。おそらく、すべての国民がすでにわかっていることだろう。でも一流の政治家は、なぜか選挙では選ばれない。わかっていながらそうならないのが政治の世界だ。そこでもし悪貨が良貨を駆逐するようなことになったら、日本の将来はない。