原稿書き 2013.01.06-01.12

休み明けには原稿を仕上げます。いったい何度これを言い訳にして原稿書きを引き延ばしてきたことか。今年も正月休みが終わろうとしている。でも、いつものように原稿は書けていない。書けそうもない。

原稿書きは講演よりもストレスが大きい。講演はその日が過ぎれば、その出来は別として、解放される。時間が解決してくれる。原稿書きはそうはいかない。〆切日が過ぎても自動的には解放されない。状況がもっと厳しくなる。ストレスだけがますます溜まる。

原稿書きをしていてつくづく思う。昔はよかった。原稿は郵送でよかったから、蕎麦屋の出前のように「いまポストに投函しました」と答えてから原稿書きにとりかかることができた。FAXそしてメールの時代になって、その手が使えなくなった。逃げられなくなった。

原稿はこま切れの時間がいくらあっても書けない。原稿書きにはウォーミングアップが必要である。こま切れの時間しかないと、それだけで終わってしまう。ウォーミングアップだけで、原稿が一行も書けない。それを繰り返すことになる。

原稿書きのタイミングは2回ある。その一つは原稿執筆を依頼されたとき。依頼されたら、まずは原稿をイメージして、何とかなりそうだったら受諾する。本当は、そのときが原稿書きの絶好のタイミングなのだ。しかし普通はそれを逃す。原稿を書くのは〆切直前あるいは過ぎてからになる。

原稿書きは、執筆承諾の前と後で、編集者との関係が逆転する。承諾する前は編集者が低姿勢で頭を下げる。それが原稿執筆を承諾した途端に、編集者は高姿勢になる。編集者の執拗な督促に、ひたすら原稿を書く側が頭を下げることになる。

どうしても原稿が書けないときは、頭の中が真っ白でも、まずはパソコンの前に座るしかない。ワープロソフトを開いて、他の一切の雑念を捨てて、修行僧のように苦行する。その苦行に耐えることができなければ原稿は書けない。今日こそはその苦行をと決意したら、これから出張・・・。