白 2013.05.19-05.25

黒に対して白がある。白は、物理的にはすべての波長の光が乱反射したときに生ずる色だけれども、すべてを含む色だけに、その意味は複雑だ。たとえば、一般には白は勝ちを意味する。白星は勝つことだ。一方で白は負けも意味する。白旗はあげることは負けの意思表示だ。

白は純潔あるいは清廉であることを意味する。何も汚れのない無垢の色である。潔白という言い方もある。裁判でシロは無実を意味する。天使は白衣をまとう。化学の実験室や病院での白衣も、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電も、みな白の清潔イメージがもとになっている。

白は、どちらかといえばいい意味に使われることが多いけれども、そうでないこともある。「白ばくれる」「白を切る」は、知っていながら知らないふりをすることだ。単なる当て字だという説もあるけれども、興ざめするときに使う「白ける」は、興=色がなくなるという意味かもしれない。

白は死者に着せる衣装でもある。死に装束は白だ。そこには罪を浄めるという意味があるのだろうか。もし、ギンギンの成金的な衣装で三途の川を渡ったら、その先の閻魔様がいる関所ですべて取り上げられて、反省がないという理由で地獄行きになるのだろうか。

白は隠さずにすべてを差し出す。「告白」や「白状」はその意味だ。「白日のもとにさらす」という言い方もある。人は隠れていると必ず悪いことをする。誰でも見えるところにさらせば悪いことはできない。最近やかましい情報公開には、そのような人間観が見え隠れする。

白はすべてを覆い隠す。白粉(おしろい)は顔のシミを隠す。かつて美白がもてはやされたことがあった。その象徴的な存在であった鈴木その子さんと一緒にシンポジウムをしたことがあった。決して厚化粧という印象はなく、透明な白だった。

花嫁衣裳やウェディングドレスの白は果たして無垢なのだろうか。それとも覆い隠しているのだろうか。死に装束と同じ意味で、嫁ぎ先で生まれ変わるのだとする説もある。新郎がこれから色を染めるのかもしれない。いろいろあっていい。その方が結婚披露宴でのスピーチが面白くなる。

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