コンサルタントのプロと称する人と話していると、お題目のように出てくる言葉にステークホルダーがある。ステークホルダーの観点から考えなければいけないと諭される。ステークホルダーとは何か。経営の分野では当たり前の話かもしれないけれども、改めて考えてみたい。
もともとステークには二つの意味がある。賭け金と杭。ステークを賭けとみなしているホルダーは、もちろん自分のことしか考えない人たちだろう。一方の杭についても、杭を立てて自分の権利を主張するホルダーと、杭を立てて責任を持って支えてくれるホルダーがありそうだ。
ステークホルダーには、こちらを支えてくれるホルダーと、自分の利害しか関心のないホルダーがある。危機に直面した時に、前者は力になるが、後者はすぐ去って行く。去るだけではない。こちらを危機に陥れる。ステークホルダーは、必ずしも味方ではない。時に敵になる。
ステークホルダーは利害関係者と訳される。プロジェクトを進めていくために利害関係者との合意形成を図ることは大切だ。避けて通れない。でも一方で思う。それを気にしすぎると、もっぱら他人の顔色を窺うことになる。当然ながら、それではプロジェクトはうまくいかない。
プロジェクトにおいてまず大切なことは、自分は何をやりたいかという意志、そして夢がしっかりしていることだろう。その意志あるいは夢をステークホルダーに共感、共鳴してもらうことが重要だ。そうすればステークホルダーは応援団になる。
僕が尊敬するベンチャーキャピタリストは、講演で自分の投資先がいかに素晴らしいかを熱っぽく語る。それも自分の言葉で語る。逆にそれができないところには投資しない。彼のようなステークホルダーならば信頼できる。一緒に夢を実現できる。
あるプロジェクトに関連して、コンサルタントと相談したことがある。そのコンサルタントは、プロジェクトの内容を聞こうとせず、ステークホルダーマネジメントの手法を一方的に語り始めた。それだけで判断するのは申し訳ないけれども、そのようなコンサルタントを僕は信用できない。