多元宇宙 2014.03.30-04.05

宇宙の果てはどうなっているのか。子どものとき疑問だった。大きくなって、宇宙は膨張していて有限であることを知った。そしてその先に、無数の宇宙があることを知った。それはユニバースに対して、マルチバース(多元宇宙)と呼ばれている。

多元宇宙論では、宇宙は数ある泡の一つだ。その泡はあるとき急膨張(インフレーション)して火の玉となり、クオークから陽子と中性子が生まれ、それが原子核、原子となって物質を構成していった。いまから138億年前の話である。そしていま、60億年前から再び宇宙の膨張は加速している。

宇宙という泡はこれからどうなるのだろうか。そのまま膨張して冷たくなる。もっと膨張して散り散りになる。あるいは逆に収縮してつぶれる。いろいろな可能性があるらしい。それを解く鍵はダークエネルギーの解明にあるとされるけれども、いずれにせよ宇宙という泡はなくなってしまう。

我々の宇宙はそのうちに死ぬ運命にあるが、絶望する必要はない。多元宇宙論では、宇宙は親となって子宇宙を生み、子宇宙は孫宇宙を生む。でも残念ながら、親はせっかく生んだ子宇宙とコミュニケーションできない。因果関係が断ち切られるからだ。

ブラックホールの先にあるワームホールというトンネルは、親宇宙と子宇宙をつなぐへその緒のようなものかもしれない。ワームホールを通って別の宇宙と行き来することは、三途の川を渡って戻ってくるよりも遥かに難しい。そもそもへその緒は、子宇宙が生まれたらすぐ切れてしまうものらしい。

多元宇宙論では、宇宙進化論という仮説もある。親宇宙、子宇宙、孫宇宙と何世代も繰り返していくうちに、自然淘汰ならぬ宇宙淘汰がおこる。その結果、子孫を残しやすい仕組みをもった宇宙だけが生き残る。もしかしたらブラックホールが多い宇宙は子沢山かもしれない。

我々人間は、無数にある泡のような宇宙の一つに生きている。その宇宙も大規模な泡構造をしている。それを構成するのは、そのまた泡のような銀河である。その銀河にある太陽系の第三惑星で、僕はまさに泡のような生を授かっている。それを可能にしてくれている宇宙に感謝。