赤 2014.04.06-04.12

幼稚園の運動会では赤組と白組に分かれていた。大晦日のイベントは紅白だ。紅白は源平合戦にルーツがあるけれども、そもそも赤と紅、どこが違うのだろう。赤は明るいという光の感覚、紅は染料のベニバナからきているらしい。紅葉も、美しく染まって見えるので、赤葉とは言わない。

真っ赤な嘘、なぜ赤なのだろう。嘘をつくと顔が真っ赤になるからではない。赤には「明らかな」という意味もあるからだ。そう考えれば、赤の他人という言い方も頷ける。明らかな他人であって、その他人が赤い服を着ているわけではない。

赤は血の色だ。そこから来るのであろうか、赤は情熱的な色とされる。興奮すると顔が赤くなる。それは皮膚のすぐ下の血液が見えているからだ。そういえばドラキュラの黒のマントも、裏地は赤が多い。その色は血に飢えたドラキュラの本性を表しているのだろうか。

赤は火の色。消防車は赤だ。それと関係しているのだろうか、赤は危険を意味する。赤信号を無視すると、自らの身が危ない。サッカーのレッドカードは、それだけで退場だ。試験の赤点も危ない。家計簿の赤字は、そのままにしておくと首が回らなくなる。

小さな子どもは太陽を赤く描く。実際は黄色に近いのに、なぜか赤だ。夕陽のイメージが強いからだろうか。確かに黄色い太陽は、直視できない。思わず見とれるのは赤い夕陽だ。それに対して月は直視して愛でることができる。夜空を背景に、実際の色に近い黄色で描かれる。

赤は女の色とされる。いつしかそう決められてしまった。そう言えば、異人さんに連れられていってしまった女の子も赤い靴を履いていた。赤=女という固定観念に縛られる必要はないけれども、トイレの表示の赤と青あるいは赤と黒が逆になっていたら、大混乱になる。

赤は政治的には左翼の色だ。かつての共産国家の旗は赤が多い。戦後のアメリカでは、いわゆる「赤狩り」(マッカーシズム)がおこなわれた。今のアメリカでは「赤い州」は共和党支持の保守的な州を意味するらしい。色のイメージは、時代とともに変わる。文化によっても変わる。