日本の進路 2014.04.27-05.03 

僕はここでは時事問題や政治問題をつぶやいていない。一時的な義憤を制御できる自信がないからだ。関心がないわけではない。たとえば、日本の進路。この大きな時代の変わり目に、その行く末が人並みに気になる。

二十世紀の前半、戦前の日本は軍事力を、いわば国是としてきた。いまの日本にどの程度の軍事力が必要かは、意見が分かれるところだけれども、少なくとも軍事力を中心に国を興す時代ではない。

二十世紀後半の、戦後の日本は、高度成長を背景に、経済力で勝負してきた。一時期、GDP(GNP)がアメリカについで世界第二位になったこともあった。でも今は中国に抜かれた。近い将来、インドにも抜かれるだろう。経済は重要だけれども、それだけに依存する時代は終わった。

いま日本は少子高齢化を始めとして、さまざまな課題をかかえている。その多くは、日本よりも遅れて世界が直面する問題だ。その意味で、日本は課題先進国と言われることがある。先進国としてその解決へ向けたモデルを世界に向けて示す。いま日本はそのような役割が期待されている。

これからの日本の進路として重要なことは、未来を担う若い人たちが夢を持てることだろう。その夢は国が音頭をとって押し付けるようなものであってはならない。若い人たちそれぞれが自らの夢を持つことができて、社会がそれを支える。その夢の先に日本の未来がある。

これからの日本は世界から尊敬される国になってほしい。尊敬は軍事力や経済力では得られない。僕はここであえて文化力をあげたい。もともと日本は東洋文化の伝統があり、西洋文化を吸収した。日本は、それらが融合した二十一世紀の新たな文化モデルを構築して、世界に発信する好位置にある。

いま日本という国にこだわることに、いかなる意味があるのかという質問を若い人から受けた。僕はこう答えている、まずは自分の近くにいる人たちを大切にする。共に未来を考える。そしてその新たな未来のモデルを世界へ向けて発信する。日本がそのような発信の単位となってほしいと。