尖った**を育てない秘訣 2014.06.01-06.07  

尖った**の育成が、さまざまな場で話題になっている。産業界では尖った人材、学術の場では尖った研究者であろうか。実は尖った**は、育てるよりも、つぶす方がずっと易しい。思いつくままに「尖った**を育てない秘訣」を挙げてみよう。

尖った**を育てない秘訣。決められたこと以外のことをしないように規則で締め上げる。規則は一見大切だけれども、規則には意欲を削ぐという効果もある。性善説でなくて性悪説に立つときの常套手段は、人を信用しないで規則を作ることだ。信用されていないという気持ちがやる気をなくさせる。

尖った**を育てない秘訣。短期間で成果を出すことを強要する。その成果を数値で評価する。競争を促して、いつも他者と比較をする。尖った**は、競争によっては生まれない。そもそも競争なんて考えない。我が道を行く人は、他人と自分の比較もしない。

尖った**を育てない秘訣。社会、とくにメディアは、一部に問題を起きたときに、もっぱら管理者の責任を追及する。管理者は、自分に責任が来ないように、部下の締め付けを行う。管理責任ばかりを重視する社会には、決して尖った**は育たない。

尖った**を育てない秘訣。一部で問題が起きた時に、再発しないようにすぐ対応して、それを全体に要求する。問題を防ぐための最良の方法は、元を絶つことだ。尖った**が生まれないようにすることだ。切り捨てることは易しい。尖っていること自体が、切り捨てる理由になるからだ。

今の社会は、尖った**が生まれないような仕組みが見事にできている。僕の身近なところでは学術の場がまさにそうだ。尖った研究者を期待しながら、仕組みは逆になって、それがますます強化されている。真面目に仕組みを作ると逆になる。不思議なことに。

尖った**は、育てる側に勇気が必要とされる。尖っていると、外部から非難されることもある。責任を追及されることもある。それを恐れていたら、尖った**は育たない。責任だけ負って部下は自由にさせる。それだけの覚悟を持ったリーダーがいなければ、尖った**は生まれない。