ヒトとサル 2014.08.03-08.09 

ヒトとサルはどこが違うのか。直立歩行をする、脳が大きい。他に道具を使う、言語を駆使することなども違いとされる。ところが最近の研究は、この境界をあいまいにしつつある。これまでヒトはサルとは違うことを誇りにしてきたけれども、実際はそれほどでもないらしい。

かつて道具の使用はヒトだけとされた。ところが、一部の鳥は枝や石を道具として使う。そこで道具製作がヒトの特徴とされた。これもチンパンジーが道具としての棒を製作することがわかって崩れた。道具を作るときに道具(工具)を使うのは、いまのところヒトだけらしいが、それも確証はない。

ヒトとチンパンジーは共通祖先をもつ。いまヒトは地球上に70億人以上いる。一方のチンパンジーは高々数十万頭だ。この違いはなぜ生じたのか。それはヒトが、サバンナという厳しい環境に飛びだしたからだ。厳しい環境がヒトを進化させた。安穏と暮らしていたらヒトはサルと同じになる。

余談だけど、サルはヒトよりも3本毛が足りないとされる。この毛は何だろう。巷の説の一つは「見分け」「情け」「躾け」だ。この3つの「け」がないとはサルに失礼だが、そもそも今のヒトにあるのか。ないとすればヒトはサルになってしまったということなのか。

サルは一般に離乳が遅い。5~7年の間母親は乳を与え続ける。それに対してヒトは1年で離乳して、サルよりも多くの子を産む。なぜ早く離乳できるのか。それは周りが育児を助けてくれるからだ。助け合いがなくなった社会は、離乳しても独りで育てなければならない。当然少子化になる。

サルはほとんど笑わない。チンパンジーの子どもくらいだ。特にスマイルはヒトに特有の表情だと言われる。それは社会的な表情だからだ。ヒトは相手へ好意を示すときも、嘲るときも、憐れむときも、騙すときも、そして自分を隠すときも笑う。それだけヒトの社会は複雑なのだ。

ヒトとサル、どちらが幸せなのだろうか。仕事に疲れたときに、のんびり毛繕いをしているサルを羨ましく思うことがある。でもサル社会にもそれなりのストレスがあるのだ。サルは、動物園で能天気に見物しているヒトを羨ましく思っているかもしれない。