スマホ 2014.10.05-10.11

電車の中で、あるときびっくりした。前の座席に座っている人が、全員スマホの画面に熱中している。電車全体を見回しても、半分以上の人が、ゲーム機も含めて電子機器に向っていた。この風景は一体何なのだろう。この人たちは、一体何者なのだろう。

電車の優先席に座ってスマホに熱中している青年がいた。その前にかなりの年齢のお年寄りが立ったけれども、青年はそのままスマホを続けていた。優先席で、電波を発する携帯機器を使っていいかどうかは別として、彼がまったくそのお年寄りに気づかないことが、むしろ気になった。

スマホを見ながら歩いている人は、後ろ姿ですぐわかる。周囲をまったく意識していない。歩く人の流れから完全にはずれている。思わず衝突しそうにもなる。そのうちに、人にも衝突防止装置が装着されて、前を見ないでも歩ける時代が来るのだろうか。

草食動物は、いつも身の危険に対してアンテナを張りめぐらせている。馬の目が横についているのはそのためだ。人類は草食化したけれども、アンテナはどうなのだろう。スマホを見ながら歩いている人たちは、電波のアンテナは立てているかもしれないが、自らの身の危険に対するアンテナは皆無だ。

20年以上前に、未来は街を歩く人はみな携帯情報端末をもち、歩きながらネットワーク上の仮想世界にアクセスする時代となると講演したことがあった。実際にそうなってみると、なぜか違和感を感ずる。情報技術の研究者として、これでよかったのかと思うこともある。

僕も、街で歩きながらスマホにアクセスすることがある。でもほとんどは、街で迷ったときの道案内で、それ以外は見ない。街には様々な人がいる。様々な風景がある。刺激でいっぱいだ。学びの場でもある。街に出てもスマホの世界に閉じ籠っていることが、もったいないと思うからだ。

街でスマホを見ながら歩く姿は、単なる流行なのだろうか。そのうちに廃れてしまうのだろうか。スマホが眼鏡型あるいは時計型になったら、きちんと前を向いて歩くことになるのだろうか。それとも、これからますます街にいてもネットに没入する。その傾向が強まるのであろうか。

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