再び電車の中で 2014.11.09-11.15

現役の頃はタクシーを利用しまくっていたけれども、定年になって移動はもっぱら電車を利用するようになった。限られた場所で、しかも少しの間だけれども、電車が僕の社会観察の場となった。社会の中での自分を見つめる時間となった。

電車の中で、リクルートスーツ姿の女子大生が二人、大きな声で話していた。就活の真最中なのだろうか、その会話には「うざい」と「きもい」が乱発されていた。それを聞いただけで、もし僕が人事担当者だったら、この人たちは採用しないなと思った。僕は古い人間なのだろうか。

電車の中で、兄弟だろうか、小さい子どもがふざけあっていた。他の乗客にぶつかりそうになって危なかったけれども、そばにいる母親は気にしていない。そのようなとき注意すべきかどうか、迷ってしまう。昔だったら躊躇なく注意したのだけれども。

電車の中で、中学生だろうか、ドアの前の床に大きなバッグを置いて、スマホに熱中していた。そのドアが開いて乗り降りする乗客がいたけれども、彼はバッグを動かそうともしない。確かに動かす余地はあまりなかったけれども、素振りだけでも見せれば違うのにと思った。

電車の中で、疲れているとき優先席が空いていると、誘惑に負けて座ることが多くなった。でも、落ち着かない。僕の前にお腹の大きな女性(でも妊娠かどうかわからない)が立ったとき、お年寄りの男性(でも僕より年上かどうかわからない)が立ったとき、席を譲るべきか、いつも迷ってしまう。

電車の中で、数年前に少し足が不自由なとき、席取りにいつも負けていた。空いた席を見つけても、そこにたどり着く前に、元気な人に先に座られてしまう。数か月後に治ったら、また元のように座れるようになった。でも、席取りをするとき、少し躊躇するようになってしまった。

電車の中で、そばの席が空いたので座ったら、隣の若い女性が立って、遠くの席に移って行った。若い女性に嫌われる年齢になったのか、もしかしたら加齢臭が出ているのかと、少し寂しくなった。周囲から思い過ごしだと励まされるけれども、内心やはり気になる。僕も微妙な年齢になりつつある。