研究のシーズとニーズ 2014.11.23-11.29

科学技術研究には二つのスタイルがある。シーズ志向とニーズ志向だ。シーズ志向は、それまでの成果を種として発展させる形でおこなう、いわば供給型の研究である。ニーズ志向は、外部からの要請に基づいておこなう、需要重視の研究である。

マイケル・ギボンスは、科学研究にはモード1とモード2があるとした。モード1は、研究者の好奇心に基づくボトムアップ型の研究、モード2は国や産業界からの要請を受けておこなうトップダウン型の研究である。モード1はシーズ志向型、モード2はニーズ志向型の研究にほぼ対応する。

研究者の個人的な好奇心でおこなうシーズ志向型のモード1の研究は、自己充足型の研究になる。研究の評価も、分野内部の仲間内で進められる。純粋数学はその典型だ。役に立つことは考えていない。にもかかわらず、それが科学技術の発展に多大な貢献をしていることは不思議だ。

社会からの要請に基づいておこなうニーズ志向型のモード2の研究は、受益者=クライアントは学界の外側にいて、そこから資金が提供され、成果は外部から評価される。いわば請負型の研究である。いまの外部資金獲得型の研究は、ほとんどがこれになっている。

第4期の科学技術基本計画では、社会的課題解決型研究の重要性が謳われた。それはまさにモード2、ニーズ志向の研究である。課題解決は大切であるけれども、研究は受け身になる。一方で、シーズ志向でありながらニーズ志向にみせかける研究も増えている。

商品開発の分野では、ニーズとシーズに加えてウォンツが重要であると言われている。消費者の隠れた欲求を発掘することだ。研究に当てはめると、社会的課題発掘型あるいは課題探索型の研究ということになろうか。外から課題が与えられるのではなく、自ら課題を発掘することが求められる。

好奇心に基づくモード1、シーズ志向の自己充足型研究は、研究テーマ設定が鎖国型になりがちだ。外部から課題が与えられるモード2、ニーズ志向の課題解決型研究は、輸入型になる。鎖国型、輸入型に対して、自らメッセージを発信する輸出型のモード3の研究はないものだろうか。

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