恋愛・結婚・性 2015.08.23-08.29

「恋愛」をテーマに90分の講演をしたことがある。僕の最も不得手とするテーマであったけれども、そこで問題としたのは、恋愛と結婚そして性が、果たして三位一体かということであった。

恋愛・結婚・性は三位一体なのか。恋愛は結婚のためにあり、結婚をゴールとするという考え方を「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」という。いまでは当たり前のように思われているけれども、これはむしろ近代になってからの西洋的な考え方だ。昔は必ずしもそうではなかった。

恋愛・結婚・性は三位一体なのか。中世のヨーロッパでは、騎士が貴婦人に誠の愛を捧げるという騎士道恋愛がもてはやされた。かつての日本でも、結婚は家と家の問題であり、個人の恋愛あるいは性とは切り離されていた。恋愛と性に関しては、今よりはるかにおおらかだったとも言われる。

恋愛・結婚・性は三位一体なのか。日本で結婚が恋愛のゴールとなったのは、1960年代半ばに見合い結婚よりも恋愛結婚が多くなってからだろう。恋愛結婚では、恋愛を経なければ結婚できなくなる。こうして結婚のハードルが高くなった。晩婚化と少子化もこれに関係があるのかもしれない。

恋愛・結婚・性は三位一体なのか。性は、有性生殖をする生物には必ずある。恋愛も、自然な感情として遺伝子に書き込まれているに違いない。それに対して結婚は、人がつくりだした社会的な制度だ。恋愛や性は、そこに新たに社会的な結婚が絡むことによって、純粋でなくなったとも言える。

恋愛・結婚・性は三位一体なのか。結婚に結びつく恋愛のみが許されるとしたら、初恋は不純な恋となる。同性の恋愛、 高齢者の恋愛など、結婚できない恋愛はすべて禁じられた恋となる。禁じられた恋は小説や戯曲の中だけの話。そろそろそのような時代が来そうな気もする。

出会いから結婚へ突っ走る道を「ロマンティックラブ街道」と勝手に呼ぼう。その街道をひたすら走ることができたら幸せだ。社会から非難されることもない。でも街道だけが人生ではない。寄り道もあっていい。寄り道をすることにより人は成長する。大人になる。