日本顔学会は今年で創立20周年。顔学という学術領域は、その名も含めて、1995年の日本顔学会の設立とともに生まれた。その意味では、まさに今年は「顔学20年」になる。自分の子どものような顔学が、本当に成人したかどうかは心もとないけれども、とりあえず乾杯!
顔学20年。20年前に日本顔学会が設立されたとき、顔学は人相学と間違えられた。占いではなく科学としての顔学をいかに体系化するか、それが学会の課題となった。それを通じて自分たちの力で新たな学術分野を創造すること、それが学会員の共通の夢となった。
顔学20年。「顔の百科事典」が本日(2015.9.15)刊行される。創立20周年記念事業として日本顔学会が世に問うとりあえずの集大成だ。642頁、執筆者数109名。キャッチフレーズは「いい顔になろう、百学連環の醍醐味」。この刊行が顔学の新たな時代を築くことを願う。
顔学20年。さまざまな活動をしてきた。その一つとして1999年には「大顔展」が開かれた。全国4会場で約40万人を集めた大顔展は、生まれて数年の顔学会の壮大な研究発表会であった。顔学は閉じた学問でなくて、社会に開かれていなければならない。その決意表明であった。
顔学20年。それは学際的な学術分野として発展してきた。日本顔学会では「ダ・ヴィンチ科学」と呼んでいる。レオナルド・ダ・ヴィンチは、芸術家であると同時に、科学者、技術者でもあった。日本顔学会では、学会員全体で集団で一人のダ・ヴィンチになろう。それが合言葉になった。
顔学20年。外国には顔の学会はない。国際的な学会の支部として日本の学会が設立されることが多い中で、それは特筆されていい。学際的に発展してきた顔学の次の課題は、国際化であろう。日本発信の顔学によって、世界中の人々がいい顔になれば素晴らしい。
顔学20年。「人間、顔じゃないよ。心だよ」と言われることが多い中で、日本顔学会は顔の大切さを訴えてきた。顔はコミュニケーションメディアであると同時に、自分そのものである。人がこの宇宙に存在している限り、顔はなくならない。顔学もなくならない。