戦後美男スター 2015.12.20-12.27

いまから20年近くなるけれども、ある全国紙から戦後の美男の変遷について取材があった。思いつくままにコメントしたら、夕刊トップの特集記事になった。美女の変遷についての特集は数多いけれども、美男は珍しい。それでそのような大きな扱いになったのかもしれない。

銀幕二枚目系:戦後すぐは二枚目と呼ばれた美男スターが銀幕を飾った。その活躍の場は主として文芸映画で、たとえば松竹三羽烏と呼ばれた上原謙、佐野周二、佐分利信、そして佐田啓二らがいる。次第に気品のある父親のような役柄が多くなり、それぞれの子も俳優となった。

アクション系:1950年代後半になると時代に反抗する形で日活アクションが風靡した。石原裕次郎、小林旭、自動車事故で亡くなった赤木圭一郎らがいる。不良を演じた役が多かったけれども、当時はかっこよかった。アクション系は、舘ひろしなどの石原軍団、そして千葉真一に引き継がれていく。

青春映画系と任侠系:1960年代になると、高度成長を背景に明るい青春映画が持てはやされ、加山雄三がスターになった。一方で、高度成長の陰の部分を任侠映画(ヤクザ映画)が担った。人生劇場 飛車角を主演した鶴田浩二、そして日本侠客伝の高倉健、歴史に残る名優だった。

歌謡曲系:メディアは次第にテレビの時代となり、歌謡曲歌手が茶の間のスターとなった。元祖御三家として橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦、新御三家として西城秀樹、野口五郎、郷ひろみらが活躍した。グループサウンズも全盛となり、ジュリーこと沢田研二が熱狂的な人気を博した。

アイドル系:ジャニーズ系と呼ばれるカッコ良くて可愛い顔をしたグループが、10代女性のアイドルとなった。ジャニーズ、フォーリーブス、シブがき隊、少年隊、光GENJI、SMAP、KinKi Kids、TOKIO、V6、嵐、・・・。例えばSMAPの木村拓哉はキムタクの名前で愛された。

時代劇系:美男男優として時代劇俳優も忘れてはいけない。長谷川一夫は美男の典型と呼ばれた。市川雷蔵の名も懐かしい。大スターとして三船敏郎、仲代達也がいる。高橋英樹、松平健はいまも活躍している。みな顔に存在感がある。時代劇には顔の大きな美男俳優がよく似合う。