人生の旬 2016.10.02-10.08 

日本人の平均寿命は2015年時点で、女性が87.05歳、男性が80.79歳とされている。その間の人生は山あり谷ありで決して一様ではない。ふと思う。人生にも旬があるとすれば、それはどの年代だろう。僕の場合はいつだったのだろう。

人生の旬はもちろんそれぞれで違っていい。職業によっても違うだろう。スポーツ選手は、ほとんどが10代後半~30代かもしれない。学者の世界も20代の業績で一生が決まる分野があると聞く。一方で、亀の甲より年の功、大器晩成という言葉もある。これからが旬であるとしても全然おかしくない。

女性にとっての人生の旬は若く美しいとされる時期で、その後はその栄光をいかに維持するかに全力を傾ける。マスコミもそれを煽ぎたてる。子孫を残すことが使命の動物としてのヒトはそうかもしれないけれど、いまだにそれに縛り縛られているのは愚かだし、可哀想に見える。

男性にとっての人生の旬はいつか。現役時代に第一線でバリバリ活躍していた時期がそうだった。定年になってからそう振り返る人も多いだろう。そのような旬の思い出がある人は幸せだ。一方で定年になってもまだ人生は長い。その時間をすでに旬が終った枯れ葉として生きるのは寂しい気もする。

まだまだ若い人に負けませんと頑張っているお年寄りが多くなった。その人にとって人生の旬は、おそらく若い時だったのだろう。社会もそのような生き方を称賛する。それは社会の価値観でもあるからだ。一方で思う。人生において若く生きることが、やはり大切なのだろうか。

僕にとっての人生の旬はいつだったのか。強いてあげるとすれば、それは小学校に入学する前かもしれない。優しさと愛に包まれて、夢もたっぷりあった。無限の可能性があった。人生はそれを削り取っていくプロセスとも言われるけれども、少なくともそのような旬があったことは幸せだった。

あるときから僕は居直って、「今が人生の旬」と思うことにした。若いときも旬だった。現役で第一線だったときも旬だった。もちろん古希を過ぎた今も旬だ。死ぬ1秒前も、おそらくはそれまでにはなかった旬があるだろう。それぞれの年代に固有の旬がある。そう思った方が人生は楽しい。