男のカバン 2017.01.22-01.28

女のハンドバッグに対して、男の持ち物にカバンがある。男が必ず持つものと言えば、鍵、スマホ、財布。ティッシュやハンカチもある。それだけで済めば小さなクラッチバッグで十分だけれども、普通はそうはいかない。どのようなカバンを持っているかで、その人の生き方がわかる。

大学教授は大きなカバンに、書類や本をたっぷり入れて持ち歩く。なぜか。〆切間際の(あるいは過ぎた)原稿が溜まっていて、気になって関連資料を持ち歩くからだ。でもその資料を見ることはほとんどない。原稿は一行も書けずに重いカバンだけを持ち歩く。その繰り返しになることが多い。

パソコンをカバンに入れて持ち歩くとき、電源アダプタや関連するガジェット、接続コードも含めるとかなり重くなる。出張はキャリーバッグが便利だけれども、振動を嫌って電子機器は手提げにしている人も多い。クラウドの時代になっても、IT社会は重いカバンを持つ体力がないと生き残れない。

日本では、選挙で当選するために、ジバン、カンバン、カバンの3つのバンが必要であるとされている。ジバンは後援会組織、カンバンは知名度、そしてカバンは選挙資金だ。カバンは札束がたっぷりと入っているものらしい。そのようなカバンを僕は持ったことがないけれども。

就活バッグというカバンがあるらしい。黒の無地のビジネスバッグで、A4ファイルが入って自立しなければいけない。本皮製の高級ブランドはアウトだと、就活マニュアルには書いてある。企業の採用担当者は人よりもカバンを見て判断しているのだろうか。

電車でのカバンの持ち方で、大げさに言うとその人の人格がわかる。リュックやショルダーバッグは周りの迷惑になっていないか注意したい。床に置かれたスポーツバッグは引っ掛かって転倒しやすい。気にせず本人はスマホに集中している。それが最悪だ。

僕がカバンを選ぶポイントは軽さだ。この歳になると健康のために歩くことが大切だけれども、重いカバンは疲れるだけだ。肩こりに悩まされ姿勢も悪くなる。僕は見栄えは別として、布製のインナーバッグが気に入っている。なるべくスリムにして、そこに入れられるものだけを持ち運ぶ。