電波 2017.03.05-03.11

いまやスマホの時代。スマホは電波によってつながれている。現代人は電波がなければ生きられない。それほど身近なのに、電波がどのようなものであるかは意外と知られていない。光は見えるけれども、電波は光と同じ現象であるのに目に見えないからだ。

電波は予言によって発見された。1864年にマクスウェルが、自らの方程式を解いて、電波の存在を予言し、1887年にヘルツが実験をして発見した。その後の実用化は早かった。1895年にマルコーニが無線通信の実験をおこない、20世紀に入って電波による放送が実現した。

電波は光と同じ速さで遠くまで届く。瞬時に遠くとコミュニケーションすることは人類の夢であった。それが電波によって実現した。宇宙からも電波は届いている。それが自然に発生したものなのか、それとも宇宙人からの電波なのか。それを見極めようとするプロジェクトもある。

電波は情報だけでなく、エネルギーも運ぶ。電子レンジでは電波によって食物を温めている。食物の内部の水分子を電波(マイクロ波)で振動させて、その摩擦熱で加熱している。宇宙で太陽光によって発電し、その電力を電波で地球に運ぼうとする計画もある。

電波は環境である。電波は土地のように有限であるから、その環境は良好に保たれなければならない。電波のゴミはノイズと呼ばれる。環境をゴミだらけにしてはいけない。周りからの騒音のような電波(スプリアス)も環境汚染となる。

電波は目に見えない。見えないから神経質になる人もいる。電波はきちんと管理すれば安全とされているけれども、すべてがわかっているわけではない。これからも慎重に進めなければならない。見えないから想像をたくましくする人もいる。見えない電波を可視化するアートもある。

電波の技術はアマチュアが支えた。電波は土地のようなものだ。公共の土地もあれば、借りて商売をする企業もある。僕はハラッパのような自由な空間がもっと増えていいように思う。そこで仲間内で勝手に遊んでもいいし、アート活動をしてもいい。そこから電波の未来が生まれる。僕はそう信じている。