フェイク・・・ 2017.03.26-04.01

フェイクは単に偽りではない。人を騙すという意味がある。いまフェイクニュースが話題になっている。それは事実と信じて流されたけれども、結果として虚偽であったニュースではない。人為的に騙す目的で捏造されたニュースだ。

いま問題となっているのは、政治的な意図があって流されているフェイクニュースだ。それが選挙の結果に影響し、世論操作にも使われる。差別的な表現がそこでなされることもある。自らに否定的なものはすべてフェイクニュースだとする為政者も現れた。

金銭が目当てで流されているフェイクニュースもある。いまネットには、例えばブログのアクセス数が多ければ、多額の広告料が収入となるしくみがある。人気の高いニュースを流すことは、ビジネスになるのだ。そこでは、フェイクであっても面白いニュースが氾濫する。

フェイクニュースはなぜ広がるのか。ネットではニュースの発信者とは別に拡散者がいるからだ。その拡散者が、内容が事実であるかどうかは関係なく、刺激的なニュースを気楽に拡散する。拡散は連鎖を呼んで、あっという間に広がる。広がればフェイクニュースは真実となる。

大手メディアの報道も、フェイクニュースの拡散に加担する。ネットでそのようなニュースがあることを、たとえ否定的であってもニュース番組で取り上げれば、そのニュースを多くの人が知るようになる。結果として、フェイクニュースが広まる。

フェイクニュースがなぜ人々に受け入れられるのか。それは人に、事実であるかよりも信じたいニュースを信じる傾向があるからだ。その結果、自分と違う多様な意見を知る機会は少なくなる。自分の殻に閉じこもり、自分たちだけが正しいと思うようになる。それによって社会の分断が深まる。

今日はエイプリルフール。フェイクニュースは、もともとは面白半分に冗談として流された。受け取る側もユーモアとして楽しんでいた。それがそうではなくなった。時代に余裕がなくなったからだろうか。せめて今日流されるフェイクニュースは、笑い飛ばすことにしよう。