桜 2017.04.02-04.08

桜の季節になった。今年は開花宣言が早かったけれども、まだ満開には少しある。宣言が早すぎたのか、それとも天候が悪かったのか。当てが外れた人もいるかもしれないけれども、それはそれで良しとしよう。桜にも事情があるのだ。こちらの期待通りにはいかない。それが自然というものなのだ。

桜は一斉に咲く。なぜ一斉なのか。それは桜の代表とされる染井吉野が、すべて遺伝子が同じクローンだからだ。染井吉野は交配でなく、江戸時代の一本の木が元になって、挿し木あるいは接ぎ木によって増えたものらしい。生物学的にはそういうことらしいが、仲良しはいいことだ。だから人気がある。

桜は花を愛でる人が多い。確かに花は素晴らしいけれども、僕はむしろ黒い幹が好きだ。この黒い幹が一面に咲く桜の花を艶やかにさせている。華やかな花に隠れてしまっているけれども、黒い幹がなければ桜の花の美しさはない。花に美学があるように、幹にも美学がある。

余談だけれども、桜の旧字体は「櫻」。この漢字の覚え方は「二階(貝)の女が気(木)に掛かる」。そういえば恋の旧字体の「戀」は、「愛し(糸し)愛し(糸し)と言う心」。旧字体には色っぽさがあった。新字体になって、デジタルになって、それがなくなってしまった。

花冷えという季語がある。桜が満開になる頃、また寒さが戻る。冷たい雨が降る。ようやく暖かくなって、喜び勇んで花を咲かせたのに、また震え上がってしまう。かと言って、また蕾に戻ることはできない。冷たい雨に打たれてひたすら頑張る。そのような姿もまたいじらしい。

桜は散り際が美しい。それは日本人の感性にぴったり合う。特に人生が残り少なくなると、せめて散り際を美しくしたいと思う。僕もこれからそのような年代になる。椿のように花ごと堕ちるのはいやだけれども、残念ながらそれは選べない。椿としての堕ち方の美も考えておいたほうがいいかもしれない。

桜が咲くと新しい年度を迎える。学校は新学期を迎える。ピカピカの一年生が生まれる。満開の桜がその一年生を祝福している。桜には未来がある。満開の桜に乾杯!!桜が祝福する未来に乾杯!!

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