あくび 2017.06.25-07.01

ある会で講演を聞きながら、思わずあくびがでそうになって、あわてて噛み殺した。講演がつまらなかったわけでもないのに、なぜあくびがでるのだろう。講演の問題なのか。僕の問題なのか。それとも別に理由があるのだろうか。

これほど科学が発達しているのに、身近なことがほとんど何もわかっていない。あくびはその一つだ。あくびは、脳の室傍核のオキシトシン神経からの指令によっておこることはわかっていても、なぜあくびをするかという理由は科学的にはわかっていない。

なぜあくびをするのか。自分勝手に考えると次のようになる。眠くなると脳の酸素が欠乏する。その酸素を供給するために、大きく口をあけて息をする。口を大きくあけることは顔の筋肉の運動になるから、眠気覚ましにもいい。これらは仮説としては提案されているけれども、定説になっていないらしい。

年の功と言うべきだろうか。会議やさまざまな審査の場であくびを噛み殺すことがうまくなった。口をほとんど動かずに噛み殺すことができるから、手で口を隠す必要もない。問題は、そのようにしてあくびを噛み殺すと、なぜか涙がでることだ。これは隠せない。

あくびは漢字で「欠伸」と書く。なぜ欠なのか気になっていたが、もともと欠は口を開けている様子を表した象形文字だったらしい。口を大きく開けて伸びるからあくびになる。一方で、欠乏の欠の旧字体は缺であり、これを簡略化したときに欠という同じ字になった。これによって意味がわからなくなった。

あくびはヒトだけにあるのではない。ネコもイヌもあくびをする。鳥や爬虫類もするらしい。あくびは講演の内容が面白くないというような脳の知的活動に固有のものではない。もっと低次の動物的な機能なのだ。君の講演や発表を聞いている人があくびをしても気にする必要はない。

あくびは伝染(うつ)る。それは連帯のサインなのだろうか。それによって同じあくびをした相手も同じ気持ちであることを知る。飼い主があくびをすると、イヌやネコにもあくびが伝染ると聞いたことがある。それも連帯を意味しているのだろうか。連帯したくない相手のあくびは伝染らないのだろうか。

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