最近、三代目に関心がある。三代目と言っても、ダンス&ボーカルグループではない。もっと広く、たとえば、伝統芸能の世界の三代目、会社など組織の長の三代目、歴史に登場した三代目だ。初代、二代目と三代目は何が違うのか。
日本の伝統芸能の世界では、芸の伝承は親から子ではなく、祖父から孫への伝承が中心だと聞いたことがある。現役で活躍している親に代わって、引退した祖父が孫の教育係となる。いわば三代目の教育である。もともと教育とはそういうものなのだ。核家族になって、それがなくなっている。
三代目は、それなりに名前を歴史に残している。鎌倉幕府も室町幕府も江戸幕府も、二代目の名前はすぐには出てこないけれども、三代目(実朝、義満、家光)は有名だ。ヨーロッパでも、ナポレオン二世はほとんど何もせず短命であったが 三世はフランス最後の皇帝として知られている。
三代目は、時として悲劇の主人公になる。鎌倉幕府は三代目の実朝で源氏の血が途絶えた。豊臣も、秀吉、秀次に次いで秀頼が三代目の関白になる前に滅ぼされてしまった。すでに初代の神通力が効かなくなってからの、権力の保持は難しい。
三代目が会社を潰すとも言われている。三代目が生まれたときは、すでに初代は成功していて、甘やかされて育つことが多いからだとされる。三代目くらいになると、会社が創業されてから年月が経っている。すでに周囲の状況が変わっているということもあるかもしれない。いずれにせよ三代目は厳しい。
三代目は、物心がついたときに、すでに体制ができていることが多い。二代目は初代がしてきたことを目の前で見ているから、そのやり方をそのまま継げば何とかやっていける。それに対して三代目は、新たな機軸を打ち立てなければ、その組織は持たない。成功すればそれは末代までの繁栄の礎になる。
権力が永続するかどうかは三代目で決まる。アジアに残された唯一の共産国家はいまが三代目だけれども、これからどうなるのだろう。基盤が危ういだけに、強硬姿勢が目立つのかもしれない。一方の大国の大統領も、ドイツから移住して成功した祖父から数えれば三代目だ。いま三代目から目が離せない。