男の頭髪 2018.02.18-02.24

髪の毛が伸びて気になりだしたので、久しぶりに床屋(理髪店)に行く。いつ以来だろう。2月も後半だけれども、少なくとも年が明けてからは記憶にない。散髪をしてもらいながら、何もすることがないので考えた。なぜ人には髪があるのだろう。なければわざわざ床屋に行く必要がないのに。

顔の学会で話題になった。頭髪は顔に含まれるか。頭学会ではないので含まれないとする意見もあったけれども、顔の印象はヘアースタイルで大きく変わる。眼鏡が顔の一部であるなら、頭髪も顔の一部だ。そもそも頭と顔の区別はむずかしい。頭髪がなくて区別がない人もいる。

ヒトはほとんど体毛がなくなったのに、なぜ頭に残されているのか。われわれの先祖がサバンナに飛び出したとき、体温の上昇を発汗作用で避ける必要があった。体毛はその邪魔になってなくなったけれども、頭髪だけは直射日光を避けるため残されたとする説がある。帽子がなかった時代のことである。

髪はなぜ伸びる。伸びるから床屋に行く必要がある。いつまでも伸びるわけではない。髪の毛の寿命は平均4〜6年。1カ月に平均約1cm伸びるので、70~80cmが限界だ。現代社会は、特に男性の場合はそこまで伸ばすことを許さないから、床屋が繁盛する。最近は過当競争気味だけれども。

バーコードヘアーと呼ばれている髪型がある。かつて日本を代表する政治家がそうだったので有名になった。思い切って坊主頭にしてしまった方がいいような気がするけれども、本人は必死だ。僕にとってもそれは他人事ではない。いまさらジタバタしても仕方がないことはわかっているけれども。

サザエさんの父親の波平さんには双子の兄がいる。海平さんだ。顔がそっくりで口ひげの本数も同じだけれども、ただ一つ頭髪が違う。波平さんは毛が1本、海平さんは2本だ。波平さんがときどき育毛剤を頭にかけているのは、海平さんに嫉妬しているのだろうか。

電車に乗ると脱毛産業の広告ばかりだ。男性向けもある。そもそもヒトに残されている体毛には意味があったのに、それが嫌われている。そのうちに髪の毛もそうなるのだろうか。そう言えばSF映画に登場する未来人には、ほとんど頭髪がない。たかが頭髪だけれども興味は尽きない。