額 2018.05.06-05.12

男と女の顔はどこが違うか。実は一番違うのが額(ひたい)だ。女の額は、目から髪の生え際までの斜面が急で、上部で丸みを帯びている。生え際近くの左右に高まりも見られる。男の額は、目の上が出っ張っていて、そこから後方になだらかな斜面となっている。スキンヘッドにするとよくわかる。

額は眉と髪の生え際の間の部分を指すが、個人差がかなりある。これを定義とすると、額が頭全体に広がってしまう人もいる。むしろ、しわができる部分だけを額とする。尊敬する先輩が悩んだ末に、この定義を発見したと教えてくれた。これなら確かに区別できる。

額があるのはヒトの顔の特徴だ。動物の顔は、まずは前面に咀嚼器があって、その後ろの両側に感覚器がある。脳があるのはさらに後方のいわば奥の院だ。それに対してヒトは奥の院が前に乗り出して、咀嚼器と感覚器の上にかぶさってしまった。奥の院の壁が前方で目立ってしまった。それが額である。

額の広さと知能は本当に相関があるのだろうか。昔教授会の席で、勝手に観察したけれど、よくわからなかった。少なくとも統計的に優位な差があるようには見えない。骨相学では前頭葉の発達と関連づけることもあるけれども、中途半端な科学的な説明は差別に結びつくので気をつけた方がいい。

「猫の額」はとても狭い場所を意味するけれども、本当に猫の額は狭いのだろうか。そもそも猫に額があるのだろうか。ウナギの寝床やウサギ小屋はそれなりにイメージできるが、なぜ猫の額なのかまったく見当がつかない。単に身近な猫の名前を安易に借りただけのような気もする。猫の手を借りるように。

「額に汗する」は仕事に励むことだ。運動をして汗がでても額に汗するとは言わない。ヒトは脳を冷やすために頭に汗をかく。脳を使って頑張っている様子を、このように表現しているのだろう。ちなみに額に汗すると、その汗が目に入りやすい。防波堤としてヒトの顔には眉がある。

額は「おでこ」とも言う。額が出ていると「おでこちゃん」という。額の語源はよくわからないけれど、おでこの「でこ」は凸凹の凸からきているらしい。おでこには、そのような形態だけでなく可愛いというイメージがある。僕はおでこの女優が好きだった。おでこは少なくとも僕にとって誉め言葉だ。

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