脱毛 2019.06.30-07.06

地下鉄の車内で気がついた。脱毛エステの広告だらけだ。早い、安い、痛くない、安心、安全、必ず結果を出す、いちばんおトク、様々なキャッチフレーズがそこに並んでいる。なぜ脱毛なのだろう。なぜこれほどのブームになっているのだろう。

ヒトに残された体毛にはそれなりの意味がある。たとえば脇にあるアポクリン腺からは異性を惹きつけるフェロモンが分泌されている。腋毛は、そのフェロモンを溜める意味がある。ヒトの体で恥ずかしいとされる所に毛が残っているのもそのためだ。その毛がなかったら、ヒトは子孫を残せなかった。

全身脱毛と宣伝しながら、脱毛サロンではすべての毛を抜くわけではない。眉毛は微妙だ。頭髪の脱毛はほとんどない。頭髪はむしろ、自然に脱毛してしまうことが悩みとなる。脱毛症という病名もある。スキンヘッドも美しいと思うけれども、なぜか頭髪だけは別扱いだ。考えてみれば不思議だ。

脱毛広告は必ずしも女性相手ではない。メンズ脱毛もある。このような広告があった。女性が進出した職場では、脱毛していないと嫌われます。体毛だけでなくヒゲの脱毛もあるらしい。脱毛することにより毎朝ヒゲを剃る手間が省ける。便利なようだけど、何となく寂しく思うのは僕だけだろうか。

なぜ脱毛するのか。毛があると不潔に思うからだろうか。確かに毛には様々な雑菌がつきやすい。一方で、すべての危険を取り除いた清潔至上主義では、免疫力がつかない。完全管理された清潔な環境のもとでしか生きることができなくなる。それはそれで問題だとは思うけれども・・・。

いつの時代からなのだろう。体毛がない肌が美しいとされている。なぜ体毛が嫌われるのか。体毛はサルよりもヒトの方が少ない。生物学的により進化している肌の方が美しいとしているのだろうか。この考え方は差別的なような気もするけれども、そう信じていま脱毛が流行っているのだろうか。

SFなどに登場する未来人や宇宙人は、ほとんど体毛がない。それどころか頭髪もない。男女の差もない。その頃は頭髪の脱毛が流行しているのだろうか。皆がハゲになれば、ハゲに悩むことはなくなる。理髪店はなくなり、脱毛サロンだけが相変わらず繁盛している。それが未来なのだろうか。