格差 2019.08.04-08.10

最近の世界情勢は未来を不安にさせる。僕のこれまでの常識では信じられないことが続き、それが世界に波及しようとしている。いま時代に何が起きているのだろうか。一つ気になるキーワードがある。それは経済的な「格差」だ。僕はもともと経済に弱いけれども、そうも言っていられなくなった。

数年前のテレビの番組で、世界の最も裕福な62人と世界人口の下位半分36億人の資産が同じであることが報道された。アメリカでは、上位1%の所得者の所得割合が国全体の20%で、一時期の7~8%が20世紀初頭の水準に戻っているとする報告もある。実感はないけれども、これが世界の格差だ。

格差の勝ち組は、自分に資産があるのは頑張ってきたからだとする。頑張ってきた人が報われるのは当然として、貧乏人は努力が足りないと決めつける。その立場からは格差はあって当たり前になる。しかしその格差が社会を不安定にするのであれば、その影響を受けるのは富裕層だ。そう簡単な話ではない。

ジニ係数と呼ばれる経済的な格差の指標がある。その指標によれば、いま日本は格差が拡大している。それは高齢化と単身世帯増によるものとされているが、気になるのは年齢別に見たときに若年層で格差拡大の傾向にあることだ。これが今の社会システムによるものだとすると、日本の未来は暗くなる。

なぜいま格差が問題なのか。資本主義が順調に成長していれば、富が偏在しても再配分される。一方で、資本主義に限界が来て、成長が止まると余裕がなくなる。そこで無理に競争に頼ると、結果として格差が拡大する。格差が資本主義の行く末と関係しているとすれば、この問題は深刻である。

格差は社会を不安定にする。格差の不満は、国内の富裕層ではなく、外国に向けられることが多い。それは国際的な緊張を高める。戦争の原因となる。国内的には、より貧困層に向けられる。自分たちが厳しくなったのは移民や難民のためだとして排斥に向かい、それが社会的な差別となっていく。

経済格差は、いまアメリカが突き抜けて高い。イギリスも高い。日本は格差がない国とされてきたけれども、先進国では決して低い方ではない。日本も、最近のアメリカやイギリスを追うのであろうか。そうならないように、いま何をすべきか。それが問われている。