懐かしのラジオ番組 2019.08.18-08.24

小学校高学年の頃、夕方になると必ず聴いていたラジオドラマがあった。その名は「少年探偵団」。小林少年が率いる少年探偵団が、明智小五郎とともに怪人二十面相と対決する。その主題歌はいまも耳に残る。「ぼ・ぼ・ぼくらは少年探偵団。勇気りんりん、るりの色・・」。

口惜しかったのは、ニッポン放送の「少年探偵団」とラジオ東京の「赤胴鈴之助」の放送時間が、いずれも夕方6時台前半で重なっていたことだ。残念ながら吉永小百合には失礼したけれども、主題歌はもちろん覚えている。「剣をとっては日本一に、夢は大きな・・」

僕の記憶が正しければ、夕方6時15分からニッポン放送の「少年探偵団」を聞いた後は、6時半からNHKの「一丁目一番地」だった。その後6時45分からラジオ東京で「ぴよぴよ大学」というクイズ番組があった。そして、NHKの7時のニュースになった。

僕が小学生の頃は家にテレビがなかったから、もっぱら娯楽はラジオだった。その頃家族で必ず聴いていた番組に、宮田輝が司会した「三つの歌」、青木一雄が先生となった「とんち教室」、そして藤倉修一が司会の「二十の扉」がある。同じ時間に一緒にラジオに耳を傾けること、それが家族の絆だった。

幼稚園に入る前の思い出はほんのわずかしかない。そのわずかな思い出がラジオの「うたのおばさん」だ。いま調べてみると、幼稚園に入る8カ月前の1949年の8月に始まっている。母が洗濯物を干しに庭にでているときに、廊下でおもちゃの木製電車を走らせながら、一人でその歌を聞いていた。

ラジオドラマで泣いたことがある。タイトルは「野菊の墓」。15歳の主人公はいとこ同士の2歳年上の民子に恋心を持つが、引き離されて民子は嫌がるお嫁に行き、姑に苛められて、流産で命を落とす・・・。まだ小学生だったのに、その感動はいまも鮮明だ。ラジオはVRよりもリアリティがある。

ラジオは素晴らしいメディアだ。ながら視聴もラジオなら可能だ。大学受験のとき、そして学位論文を執筆しているとき、僕に寄り添っていたのはラジオだった。これから寝たきり老人になって視力も弱くなったときに、やはり寄り添うのはラジオだろう。ラジオだけは絶対になくならないでほしい。