電気の歴史 2019.10.13-10.19

いまの時代、もし電気なるものが存在しなかったらどうなるだろうか。夜はほとんど闇になる。電気製品は動かなくなる。もちろんスマホも使えない。その電気の歴史はそう古くはない。かつて大学の電気工学科に属していながら恥ずかしいのだけれども、今週は電気についてつぶやく。

電気の歴史:電気の利用は、実質的には1800年のボルタによる電池の発明から始まった。それから219年。私見だけれども、電気の歴史は、1800-1873-1946-2019とほぼ三等分できる。それぞれどのような時代だったのか。

電気の歴史:1800年にボルタの電池が発明されるまでは、電気は静電気だった。電流はバチバチと瞬間的に流れるだけだった。電池の発明は、その電流が安定していつも流れることを可能にした。これは画期的なことだった。これによって電気の時代が到来した。

電気の歴史:電池によって流れている電流をスイッチでオン・オフすると、電線でつながれた遠方の電磁石が動作する。それによって通信が可能になる。電気はまずは電信として実用化された。電線を上空に引くための柱が立てられた。いまも電柱を電信柱と呼ぶことがあるが、その名称はそのとき生まれた。

電気の歴史:1873年、ウィーンの産業博覧会でグラムが2台の発電機を接続したら、一方が電動機(モータ)として駆動した。偶然であったか意図的であったかは別として、これは電気を電力として応用する道を切り拓いた。スワンやエジソンによる電球の発明は、その数年先のことである。
※ちなみに、この1873年に東京大学電気工学科の前身が、工部省工学寮電信科として発足した。これは世界初の電気系として独立した学科であった。

電気の歴史:1946年、初めての本格的なコンピュータがペンシルバニア大学で誕生した。ENIACと呼ばれる真空管を1万7千本以上も用いたコンピュータは、通信でもなく電力でもない電気の第三の応用を開花させた。情報の時代の幕開けである。

電気の歴史:僕はコンピュータが誕生する前年に生まれた。そしてコンピュータとともに成長した。かなり差をつけられたけれども、コンピュータの成長のほぼすべてを見守ることができた。さらに言えば、僕は1800年に始まる電気の時代の三分の一を生きた。これも驚きだ。近代は意外と短い。