アメリカの盛衰 2019.12.22-12.28

アメリカの盛衰:僕がまだ幼かった頃は、アメリカは憧れだった。信じられないくらい豊かな国だった。日本の目標だった。それがいま、そのアメリカがおかしくなっているように見える。アメリカの時代は終わったのだろうか。諸行無常、ここ100年のアメリカの盛衰を勝手に追ってみよう。

アメリカの発展:アメリカが、イギリスに代わって世界の中心として躍り出てきたのは、第一次大戦の後だ。欧州での大戦に軍事物質を補給して富を蓄積したアメリカは、1920年代に経済的に大きく発展した。ニューヨークの摩天楼も次々に建設された。

アメリカの陥落:20世紀前半のアメリカの景気は長く続かなかった。生産過剰と投機ブーム、一方で農業危機等による消費の低迷、これはアメリカの経済を瞬時に陥落させた。1929年の大恐慌の到来である。それはブロック経済を通じて、持てる国と持たざる国の対立を招き、第二次大戦を引きおこした。

アメリカの繁栄:第二次大戦の直後は、アメリカは世界の富を独占した。経済はドルを基調とした金・ドル本位制で組み立てられた。パクス=アメリカーナ、世界の平和もアメリカによって守られた。それを可能にしたのが、二度の世界大戦によるアメリカの富の蓄積だと知ったのはかなり後のことだった。

アメリカの疲弊:東西冷戦はアメリカを疲弊させた。共産主義と対抗するための西側諸国への援助と軍事コストの増大が、アメリカの経済をおかしくした。1971年、ニクソンは金とドルの交換停止を宣言した。その直後のオイルショックの追い打ちを受けて、アメリカは財政赤字と貿易赤字を増大させた。

アメリカの再生?:1989年、ベルリンの壁が崩れて冷戦が終わった。その後はアメリカの一極支配となった。金融経済も発展して、グローバル経済のもとで再び世界はアメリカ中心に動くかのように見えた。しかし、それは蜃気楼だったのかもしれない。

アメリカの終焉?:グローバル経済はアメリカの根底を揺るがし始めた。格差の拡大は中間層の没落をもたらし、移民・難民問題も深刻化して、アメリカは分断社会となった。いまやアメリカは内向きの国となっている。アメリカが撤退した後の世界は、これからどうなるのか。まだまだ時代は動いている。