自神教 2020.01.05-01.11

初夢ではないけれども、不思議な夢を見た。僕はある宗教団体の集会にでていた。宗教名を確認することは忘れてしまったので、仮に「自神教」と名付けよう。そこでは、次のような教義が説かれていた。「あなたは神はいないと思っているかもしれないが、実はあなた自身が神なのだ」

自神教の教え:あなた自身が神なのだから、あなたの理性が判断することには間違いがない。神だからあなたには無限の力がある。知は力である。それに気づけば、あなたは何でもできる。それによって、あなたは幸せになれる。あなたが神として信ずる相手は、他ならぬ自分自身なのだ。

自神教の教え:あなた自身が神なのだから、自らの欲望を否定する必要はない。むしろ積極的に肯定して、それを追求しよう。それによってあなたは幸せになれる。みなが自らの欲望を肯定して追求すれば、社会全体が幸せになれる。

自神教の教え:あなた自身が神でも、未来は予測できない。予測できない未来など考える必要はない。いまが大切だ。いまを大切にして、いま幸せになることだけを考えて生きてよい。それが結果的に未来の幸せにつながる。

自神教の教え:あなた自身が神なのだから、すべてが自分のためになるように力を行使して構わない。あなたの環境を、自然をも含めて、あなたにとって都合がよいように改造することにまったく問題はない。むしろそれによってあなたが幸せになるのであれば、積極的にそうすべきだ。

自神教の教え:あなたは知らないだろう。実は科学者や技術者は、みな自神教の信者なのだ。科学者は、自らが説明する万物のしくみが絶対に正しいと信じている。技術者は、自らが創造する技術が、必ずや人を幸せにすると信じている。彼ら・彼女らはみな自神教の伝道師であり、実践者なのだ。

夢から覚めて思った。自神教はあなた自身が神であると説くが、本当にそうなのか。それは人を傲慢にするだけではないのか。この教えが、すべて当たり前のように思えるとしたら、近代に生きる我々は、ほとんどが自神教の信者になっているのかもしれない。自神教は近代教と呼ぶべきなのかもしれない。