死後の世界 2020.03.15-03.21

人は誰でも死ぬことが怖い。現世への未練もあるけれども、死後の世界がどのようなものかわからない。だから怖い。それは天国か地獄か。絶対に自分は地獄には行かない。そう信じている人はほとんどいない。逆に天国に絶対行くと信じている人ほど、おそらくは地獄に行く。

ほとんどの宗教は死後の世界があると教える。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教では、死後に最後の審判がある。もともとはゾロアスター教からきたものらしい。イスラム教では、現世よりも死後の世界を大切にする。いま生きている時間よりも死んだ後の時間がはるかに長いからだ

インドの宗教では輪廻転生、死んだ後には別の生があるとする。必ずしも人ではなく畜生として生まれ変わる可能性もある。それは現世でのおこないによる。逆にいうと、現世は前世のおこないの結果だとみなす。それを前提に、カーストのような一見差別的な制度も肯定される。

三途の川をバスで渡る夢を見た。バスに揺られながら「ああ僕は死んでしまったのだ」と思った。運命なのだから仕方がないと、悲しさはなかった。その後のことは知らない。何かの手違いがあって、現世に帰されたのかもしれない。もしかしたら、いま生きている世界が三途の川の先なのかもしれない。

全身麻酔をしたことがある人はわかるだろう。それは不思議な経験だ。瞬時に意識を失い、「終わりましたよ」という声で突如目覚める。その間の記憶は一切ない。夢も見ない。そのときに思った。死とはこのまま目を覚まさないことなのかと。そうだとすると、死は苦しくない。ただ無心になるだけなのだ。

いまを生きる現代人は、死後の世界を信じない人が多い。人の意識は脳の活動で、死んで活動がなくなればすべてが終わると思っているのだろうか。一方で、誰が何と言おうが霊魂の存在と死後の世界を信じている人もいる。その人たちに絶対にないとは言えない。

死後の世界は本当にあるのか。少なくとも、行ってみたらなかったと報告した人を僕は知らない。もしかしたら三途の川の先に閻魔様がいるかもしれない。最後の審判があるかもしれない。そうだとすれば、そのような可能性もあることを想定して生きた方がよい。死んでから後悔しても遅いからだ。