私的講演の心得 2020.06.07-06.13 

これは職業病なのだろうか。僕は講演している夢をよく見る。そのほとんどが悪夢だ。切羽詰まった場面で必ず目が覚める。でもいつもそれが夢であるとは限らない。そうなったときに慌てないために自然と身についたのが「私的講演の心得」。

私的講演の心得:まず大切なのは、持参したパソコンが動作しないことを想定しておくこと。少なくともUSBに発表資料をパックアップしておく。万が一そうしていなかったときはどうするか。発表資料なしに講演する。その位の覚悟が講演には要求される。

私的講演の心得:講演は一瞬先が闇になることがある。あるとき、講演の直前に停電になった。会場自体は外光で明るかったので、そのまま講演することになった。僕の頭の中は真っ白な闇になった。電気を信用してはいけない。電気系の学科で長年教えてきた名誉教授が言うのだから確かだ。

私的講演の心得:悪夢と思ったが現実だった。あるシンポジウムで、冒頭の挨拶だけの積りで何も用意せずに会場に行ったら、1時間の基調講演だった。それを知ったのが講演の10分前、完全に僕の思い違いのミスだった。何とか乗り切ったその経験によって、僕は少しだけ講演が恐くなくなった。

私的講演の心得:ある年齢になると、外部講師を呼んだ講演会を自分で企画することがたびたびある。そのときに主催者として心得ておかなければならないことがある。外部講師から急にキャンセルがあったときにどうするかだ。主催者だから代わりに自分で講演する。その覚悟が必要になる。

私的講演の心得:つくづく思う。理想の講演は、何も補助的な器具を使わずに、ただ言葉だけで聴衆を楽しませるものだと。安易に視聴覚機器に頼ってきた自分を恥ずかしく思う。でも反省するばかりで、一向に成長しない。まだまだ修行が足りない。おそらくこの修行は終わらない。

私的講演の心得:8年前に軽い脳梗塞をしたときに、構音障害で呂律がまわらなくなった。どうなるかと思ったけれども、そのときは驚くほど楽観的だった。声を出さない講演に挑戦しても面白い。そう思った。残念ながら自己流でリハビリをしてしまったので、まだ実現していない。