この世の終末は本当に来るのだろうか。宇宙の消滅を終末とみなせば、数百億年先に必ず来るだろう。問題はそのような遠未来ではない。もしかしたらそれほど遠くない未来に人類が滅亡するかもしれない。その意味での終末だ。
終末:700万年前に人類が誕生して以来、さまざまな属や種が登場しては消えていった。20万年前に誕生したホモ・サピエンスも、そのうちに種として滅ぶだろう。問題は自然の淘汰ではなく、人類自らがその絶滅の時期を早めて終末をもたらすことだ。
終末:宗教の多くは、この世は永遠に続くとは考えない。ゾロアスター教、アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)には終末思想があり、最後の審判がある。仏教にもまったく意味は違うけれども末法思想がある。いまはすでにその末法の時代に入っている。
終末:東西冷戦のときは、核戦争による終末が現実の問題としてあった。キューバ危機のときケネディは、1/3~1/2の確率で核戦争を覚悟したと言われる。いまも世界には核兵器が1万3,400基あって、9カ国が保有しているとされる。いつ終末がきてもおかしくない。
終末:いつか必ず終末が来るであろうとする予言は数多くある。16世紀のノストラダムスの大予言では1999年に、マヤの暦では2012年に世界が滅ぶとされた。予言ではないが、風の谷のナウシカでは、産業文明の出現から1000年を経て、火の7日間と呼ばれる最終戦争がある。
終末:人工知能の分野では、2045年にコンピュータが人の知性を超えて、その後は予測不能になるとの主張がある。シンギュラリティと呼ばれている。その先はコンピュータの知性が支配する時代になって、人も改造されてホモ・サピエンスでなく、ポストヒューマンになる。
終末:手塚治虫の火の鳥の未来編では、終末はAIによってもたらされる。それぞれの国はAIロボットによって独裁的に支配されており、そのロボット同士が人間とは無関係に勝手に全面戦争を始める。そして人類も含めた終末が来る。これはシンギュラリティの先を予言しているとも言える。