人生それなりに生きていると、病いとのつきあいが避けられない。痛風、脳梗塞、ぎっくり腰、そして癌、そう言えば睡眠時無呼吸症というひたすら眠くなる病気も経験した。幸いにしてすべて軽かったが、これからどうなるかわからない。つらい病いを覚悟しておかなければならない。
病いはつらい。まずは物理的につらい。痛みが走る。気持ちが悪くなる。吐気や嘔吐、高熱で意識が朦朧とすることもある。薬はそれを和らげてくれるが他力本願だ。自分にできることは何だろう。難しいけれども、それ以上に楽しいことを考えて、病いのつらさを中和することだろうか。
病いはつらい。元気なときは普通にできたことが、できなくなることがつらい。病気で休んだら会社に迷惑をかける。そのような責任感が、病いをますますつらくする。思い切って自分がいなければと思うことはやめよう。もしかしたら自分がいないことで職場が発奮して、もっと業績が上がるかもしれない。
病いはつらい。病むことによって取り残されることがつらい。競争に負けるのではないかと焦る人もいるだろう。一方で病いは、立ち止まって自分を見つめ直す好機だとも言える。それによって、他人と比較しない新たな生き方を発見できるかもしれない。病んだことを感謝するときが来るかもしれない。
病いはつらい。周りの人に看病あるいは介護の負担をかけることがつらい。まずはありがたく感謝して受け入れよう。一方で、それが長期間に及ぶときは、個人での対応は限界がある。病院や施設に任せる以外にないかもしれない。そのときは我儘を言うのはやめよう。
病いはつらい。特に脳に関わる病いの場合は、それによって自分の人格が変わってしまうかもしれない。これは本当につらい。割り切る以外にない。人格が変わってしまった自分は自分ではないと。他人のことまで責任が持てないと。近しい人には予めこう言っておこう。全くの他人だと思って扱ってくれと。
病いはつらい。もしかしたらこれで死ぬかもしれないという恐怖がつらい。絶望的になることもある。そのようなときは、先を思い煩うのではなくて、今という時間を中心に考えよう。少なくとも今は生きている。今すべきことは、その生きている時間を大切にすることだ。今を楽しく生きることだ。