第三次世界大戦 2020.08.09-08.15

僕は第二次大戦の終戦の年に生まれた。その僕の最大の関心事は、僕が生きているうちに第三次世界大戦が起こるか否かであった。第一次大戦終戦(1918)から第二次大戦勃発(1939)までわずかに21年。もしその間隔で第三次大戦が起きたら、僕は確実に徴兵される。そして戦死する。

第三次世界大戦があるとすれば、それはどのようにして起こるのだろうか。かつては東西冷戦が引き起こすとされたが、ソ連が解体されて回避された。それはアメリカの最終的な勝利のように見えたが、いまそのアメリカがおかしくなり、中国が台頭している。歴史はまだまだ動いている。

核兵器は第三次世界大戦を抑止していると主張する人もいる。そうかもしれない。そうでないかもしれない。一方で時代はハードパワーからソフトパワーの時代に入った。それは戦争を抑止する方向に働くのだろうか。それともまったく新たな形の世界戦争を引き起こす脅威となるのだろうか。

僕が不気味に思うのは、第一次大戦直前のヨーロッパの状況と、いまの世界の状況がよく似ていることだ。19世紀の後半、交通・通信技術の発達によって、ヨーロッパ大陸は国境を超えて急速にグローバル化して経済が発展した。しかし国際分業は格差と分断を生み出し、民衆心理を戦争に掻き立てた。

戦争はその当事国からみれば、いずれも聖戦だった。民衆はそれを熱狂的に支持した。第三次世界大戦も同じ形になるのだろうか。それとも民衆が知らないところで突如として勃発して、何が起きたか誰もわからずに、人類が滅ぶという形で戦争が終結するのだろうか。

第三次世界大戦を扱ったSFは数多くある。ほとんどは核戦争となり、人類は壊滅する。もちろんそうならないSFもありうる。宇宙から異星人が地球に戦争をしかけてきて、そのとき初めて地球人は団結して世界大戦はなくなる。その後ははるかに悲惨な宇宙大戦の時代となる。

第三次世界大戦は、文明の崩壊を招く。たとえばアインシュタインは「第三次世界大戦でどのような兵器が使われるのか私は知らない。だが、第四次世界大戦は石と棍棒によって戦われるだろう」という言葉を残している。痛烈な皮肉として心しておきたい。