コース・トゥ・ファイン 2018.03.11-03.17

「まずは粗っぽく、そして次第に細かく」という順序で進めるコース・トゥ・ファイン(coarse-to-fine)と呼ばれる方法がある。僕はこれが気に入っている。そして色々な場面で使っている。なぜ「まずは粗っぽく」なのだろうか。

コース・トゥ・ファイン。知の旅をするときは、まずは粗っぽくていいから全体がわかる地図を手に入れよう。それがコース(coarse)だ。地図があれば、それぞれの個別の建造物(fine)がどこに位置しているかがわかる。それぞれの関係もわかる。どのような道筋で建造物を訪ねればいいかもわかる。

コース・トゥ・ファイン。新しい分野を学ぶときはこの方法がいい。まずは徹底した入門書を読む。子ども向けがあればそれがいい。ビジュアルで寝ながら読めればもっといい。まずは全体をつかんでから、次第に専門的な本に進む。

コース・トゥ・ファイン。学会発表もこれがいい。まずは何を伝えたいかを話してしまう。結論も示してしまおう。残された時間は補足説明をすればよい。そうすればプレゼンの時間が気にならない。伝えたいことはすでに示してあるからだ。

コース・トゥ・ファイン。最近執筆した理系の数学中心の教科書でもこの方法を心掛けた。理系の教科書では論理構造を大切にするので、どうしても順序立てた説明が必要になる。そこで、まずは本の冒頭に見開きで、その教科書の全体マップを記すことにした。いま何を学んでいるかわかるようにした。

コース・トゥ・ファイン。実はその次の段階としてファイン・トゥ・コースがある。まずは全体を俯瞰して、専門領域に入る。ところが極端に分化してしまった専門領域にしばらくいると、次第に全体が見えなくなる。そのようなときこそ、もう一度全体を見ることが必要になる。それなしには次へ進めない。

コース・トゥ・ファイン。まずは粗っぽく、そして次第に細かく。僕はそれを心掛けてきたけれども、時間切れですべてが「まずは粗っぽく」で終わってしまった気がしないでもない。これから「次第に細かく」していく年代になるのであろうか。それとも粗っぽい人生がこれからも続くのであろうか。